デジタルのデータである電子書籍は、紙の書籍と比べて複製しやすそうに思えるもの。
しかし、デジタルコンテンツの著作権が注目される今、電子書籍のスクショやコピーは果たして合法なのでしょうか?
電子書籍は基本、お金を払って買うデータとなります。
そうなると買っているのだから、個人で利用する範囲なら別に問題ないのでは?と思う人は多いでしょう。
電子書籍で好きなシーンをスクショして保存したり、ストアが閉鎖しても引き続き読めるようにコピーして保管しておきたい。
スクショやコピーをしたいのはいろいろな理由があると思います。
実際、音楽CDなどは一度買ったCDをコピーして個人で楽しむことは違法ではありません。
では電子書籍の場合はどうなのか?気になるのは著作権に違反して犯罪になるのか?
という部分だと思いますが、この点について詳しく調べてみたのでスクショをしても良いケース、違法なケースなどまで詳しくご紹介します。
Contents
電子書籍をスクショすると違法なのか?
電子書籍で一番知っておきたいのが、スクリーンショットの違法性です。
今ではスマホが普及し、気軽にスクショを撮ることができる時代になっており、何でもついついスクショを撮るという行為が癖づいている方もいるでしょう。
実は購入した電子書籍のスクショを端末に保存する行為自体、今のところ違法ではないと考えられています。
ということは、DRM(デジタル著作権管理)で保護している電子書籍のスクショを撮っても問題はない、ということになります。
しかし、スクショした画像をSNS等にアップロードしたり、不特定多数の方に配信してしまう行為。
これは権利者の意向によっては、違法だと想定されています。
よって、個人的に楽しむ程度なら違法にはならない、ということです。
但し、電子書籍ストアによっては、スクショをすると警告画面が表示されるケースが増えてきています。
何度もスクショをしていると、アカウント停止などの措置が取られるケースが多くなってきていますので、利用しているサービスの規約を事前に読んでおくといいでしょう。
関連ページ:電子書籍の貸し借りや回し読みは違法行為となるのか?
1巻まるごとスクショしても違法ではない?
重要なのは、自分のためにスクショするのは違法ではない、と予想されている点です。
自分で購入した電子書籍を、後で自分が読み直すために全ページスクショする行為は、意外にも今のところ合法だと予想されます。
電子書籍をコピーしたいのであれば、スクショを活用すると良いでしょう。
ただし、著作権法の第一条では、以下のように法律の目的が定められています。
【著作権法(目的)第一条】
この法律は、著作物並びに実演、レコード、放送及び有線放送に関し著作者の権利及びこれに隣接する権利を定め、これらの文化的所産の公正な利用に留意しつつ、著作者等の権利の保護を図り、もつて文化の発展に寄与することを目的とする。
よって、2024年の05月現在では、基本的に曖昧な部分が非常に多く、今後大丈夫と思ってた行動がグレーと呼ばれる範囲になっていたりする場合もあります。
少しややこしいのですが、セーフと言えるラインとしては「やりすぎないこと」でしょう。
もともと著作権法は、著作者等の権利の保護や文化の発展を目的とした法律です。
今後将来、全ページのスクショがこの目的に反していると考えられた場合には、新たな規制も誕生するかもしれません。
違法アップロードされた著作物をスクショする行為
ネット上に違法アップロードされた、電子書籍など著作物をスクショするとどうなるのか?
これは違法となります。令和2年通常国会の著作権法改正で「軽微なもの」については違法とならないと定められました。
しかし、それでも全ページをスクショするような行為は禁止されています。
軽微なものの例として挙げられているのは、漫画の数コマ程度のような一部分のスクショや、サムネイルのような画質が粗くて読めない画像のダウンロードのみです。
知らずに違反してしまわないように気をつけましょう。
また、このような違法行為で逮捕されるのか心配になると思いますが、実際、個人的にちょっとだけ楽しむ程度なら逮捕されるケースはまずないと思われます。
しかし、そもそも犯罪行為なので決してしてはいけない行為なので、注意しましょう。
個人的に楽しむ為に電子書籍をコピーする行為
では、自分で購入した電子書籍をコピーしても良いのか?という疑問もあると思います。
正規に買ったものをコピーするのはどうなのか、気になりますよね。音楽CDなどをコピーして個人的に楽しむのは違法ではありません。
では電子書籍の場合はどうなのか。
ずばり、電子書籍にDRMのようなコピーガードが付いていない場合で、さらに書籍を購入したストアの規約で「個人や家庭内でのコピーはOK」と明記されているなら、自分や家族が利用する範囲内においてコピーをしても合法だと考えられています。
電子書籍ストアの中には少数ですが、作品にコピーガードをかけていないサービスもあります。
これは、著作権法第三十条「私的利用のための複製」に該当するためです。
【著作権法(私的使用のための複製)第三十条】
著作権の目的となつている著作物(以下この款において単に「著作物」という。)は、個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること(以下「私的使用」という。)を目的とするときは、次に掲げる場合を除き、その使用する者が複製することができる。(後略)
なお、説明など必要ないと思いますが、違法アップロードされた書籍のダウンロードやコピーは当然アウトです。
一方、コピーガード付きの書籍の複製は、上記の「次に掲げる場合」の第二項に当たる可能性があり、取り扱いに注意が必要です。
基本的に電子書籍はDRMがありコピーできない
前提として、多くの電子書籍ストアで購入した作品には、DRM(デジタル著作権管理技術)と呼ばれるコピーガードがかかっています。
このプロテクトはコンテンツの違法なコピーや利用を防ぐためのものになります。
単純にコピーをさせない、コピーしたファイルを開こうとするとブロックするといった挙動で、ユーザーによる不正利用を防止します。
つまり、電子書籍はいざコピーしようとすると、実は大手の電子書籍ストアなどではそもそもコピーできないものも多いのです。
しかし、ネットではこのDRMを解除するソフトなどを販売しているサイトがあったりもします。
ではそのようなソフトを使って解除するのは違法となるのでしょうか?
DRMを解除するソフトは違法
レンタルビデオ屋の最盛期にDVD・CDのリッピング(吸出し)ソフトが売られていたように、現在でもDRMを解除するソフトは存在します。
しかしDRMの解除は「技術的保護手段の回避」と呼ばれる「著作権法第三十条第二項」に触れる行為であり、明確に違法です。
【著作権法(私的使用のための複製)第三十条第二項】
技術的保護手段の回避(第二条第一項第二十号に規定する信号の除去若しくは改変その他の当該信号の効果を妨げる行為(記録又は送信の方式の変換に伴う技術的な制約によるものを除く。)
を行うこと又は同号に規定する特定の変換を必要とするよう変換された著作物、実演、レコード若しくは放送若しくは有線放送に係る音若しくは影像の復元を行うことにより、当該技術的保護手段によつて防止される行為を可能とし、又は当該技術的保護手段によつて抑止される行為の結果に障害を生じないようにすること(著作権等を有する者の意思に基づいて行われるものを除く。)をいう。
第百十三条第七項並びに第百二十条の二第一号及び第二号において同じ。)により可能となり、又はその結果に障害が生じないようになつた複製を、その事実を知りながら行う場合
コピーガード付きの電子書籍は、残念ながらプロテクトを破ってコピーしようとしてはいけません。
もし破ってコピーをした場合は違法となります。最初から将来的なコピーを希望しているのであれば、コピーOKをうたう電子書籍ストアを探しましょう。
コピーガードがない電子書籍でも、ストアの規約でコピーなど複製がNGと明記があれば規約違反となりますので、コピーはしてはいけません。
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電子書籍のスクショやコピーのまとめ
この記事では電子書籍のコピーについて、現状や気になるスクショやコピーガードとの関係をご紹介しました。
現時点(2024年05月時点)では、自分で買ったコピーガードのない電子書籍をコピーする行為。
また、コピーガードがあっても、スクショで保存したりするのは合法だと考えられています。
手元に残したい方は、まずはスクショを検討してみましょう。
しかし最近はデジタル技術の発展に伴い、インターネット上での著作権違反コンテンツの増加、いわゆる「海賊版」の被害増大に注目が集まっており、著作権にまつわる様々な規制は年々強まりつつあります。
有名な違法サイトでは、およそ3000億円相当もの有料コンテンツが無料で公開されていた、と推測されているほどです。
よって、将来的に法改正などによって変わる場合もありますので、電子書籍など著作物のコピーやスクショなどは気を付けましょう。